企業局 Q&A

料金について

Q どうして料金を改定したのですか?

A 物価高騰等に対応し、安定給水を継続していくため改定しました。

 将来の財政見通しを作成したところ、料金収入が伸び悩む一方で、老朽化した施設の更新や水道広域化に係る施設整備に伴う費用の増に加え、電気料金の上昇も相まって、経営状況の急激な悪化が見込まれました。
 現状のままでは、施設の老朽化の進行による故障等の頻発・重大化の懸念や企業債償還金 (※)が確保できない可能性があったことから、水道用水の安定供給を継続していくため、令和6年10月より水道料金を改定しました。
 水道は県民生活や産業活動を下支えするライフラインのため、安全な水を安定的に届けることが、沖縄県企業局にとって一番大事な使命となります。引き続きご理解頂きますよう、よろしくお願いいたします。
(※)企業債償還金: これまでの施設整備のために借りていた返済すべきお金

Q どうして30年間も料金を改定しなかったのですか?

A 水道料金を維持するため、経営努力をしてきました。

 沖縄県企業局では、前回料金を改定した平成5年以降、定員管理の適正化や動力費等の低減など各種施策を推進し、経費の縮減に取り組んでいます。これらの取組により、水道料金を維持しつつ、県民生活や産業活動を支えるライフラインとして、安全な水の安定供給に努めてきました
 今回の改定料金は令和6~9年度までの財政見通しから算定していますが、改定料金に係る費用(総括原価)の算定にあたっては、これらの取組による効果(32.3億円/年の削減)が、継続するものとして織り込んでいます(→総括原価を約14%削減)。  
項目 取り組み内容 効率化額
定員管理関係
(人件費等)
  • 定員管理適正化による職員定数削減による人件費縮減(▲12.7億円)
  • 本島運転管理委託料増額(+4.9億円)
▲7.8億円
支払利息
  • 企業債の借入抑制、繰上償還による支払利息軽減
▲21.8億円
運転管理効率化関係
  • 運転管理効率化、省エネルギー対策の推進及び小水力発電の導入による動力費の低減
▲2.7億円
合計   ▲32.3億円
 今後は、水道事業の安定性を図る観点から、水道法に基づき概ね4年毎に適正な料金水準を検討し、対応していきたいと考えています。

Q どのようにして水道料金を決めたのですか?

A 総括原価方式により算定しました。

 料金算定期間における、水道事業を営業するために必要となる営業費用(※1)、支払利息(※2)、資産維持費(※3)などを積み上げ、これを賄うことのできる料金を設定しました。
 この算定方法は、総括原価方式と呼ばれ、地方公営企業法や水道法施行規則に基づいた方法です。
(※1)営業費用: 人件費や動力費、修繕費など、水道事業を行う上で必要な費用
(※2)支払利息: これまでの施設整備のために借りていたお金に対する利息
(※3)資産維持費: 将来の施設整備に必要な費用

イラスト:算定方法図解
 また、料金算定期間は概ね3~5年程度とされていて、沖縄県企業局では4年(令和6~9年度)としました。

Q 改定によって料金は、いつ、どのくらいかわるのですか?

A 令和6年10月から段階的に改定します。

 沖縄県企業局は市町村等へ水道水を卸し売りしています。改定に当たっては、市町村等の負担軽減を図るため、改定幅を圧縮し、段階的な改定としました。また、令和6年10月から令和7年3月までは、料金改定時に見込まれていなかった一般会計からの補助金を活用し、1立方メートル当たり5.21円を減免しています。
 徴収する料金と、その時期については次のとおりです。
改定料金とその時期  [単位:円/立方メートル]、()内は改定率
時期 徴収料金 改定前料金からの改定額(率) 水道料金 減免額
平成5年6月1日~令和6年9月30日 102.24 - 102.24 -
令和6年10月1日~令和7年3月31日 120.03 +17.79(+17.40%) 125.24 △5.21
令和7年4月1日~令和8年3月31日 125.24 +23.00(+22.50%) 125.24 -
令和8年4月1日~ 135.70 +33.46(+32.73%) 135.70 -

Q どうして水道広域化を推進するのですか?

A ライフラインである水道のユニバーサルサービス向上のためです。

 沖縄県の小規模離島水道には次のような課題があります。
水質管理 水源水質の悪化等への適切な対応に課題
水道料金 本島周辺離島8村は特に高く、県平均を上回っている
渇水、給水制限 水資源が乏しく、降雨状況によっては給水制限を実施
経営基盤 条件不利性により高コスト構造となるため、水道料金だけでは賄えなく、他会計からの繰入に依存
 このような課題解決のため、沖縄県企業局では本島周辺離島8村に対し水道広域化を推進しています。
 沖縄本島と比べ、離島は造水コストがかかりますが、電力や電話通信などの社会インフラ同様、水道は大切なライフラインであることから、県内水道のユニバーサルサービス向上を図ることについて、ご理解頂きますようよろしくお願いいたします。
グラフ:離島8村の水道広域化前後の水道料金と本島地域との比較

Q PFOS等対策は今回の料金改定にどの程度の影響がありますか?

A 改定料金1立方メートル当たり約4円程度の影響となります。

 今回の改定料金は令和6~9年度までの財政見通しから算定しています。この間の料金改定経費に含まれるPFOS等対策費用は、1年あたり約5.1億円となっており、改定料金では1立方メートル当たり約4円程度の影響を与えています。
 沖縄県企業局としては、PFOS等の汚染源は米軍基地である蓋然性が高いと考えていることから、引き続き、PFOS等対策に係る費用について国が負担することを強く求めていきます。

Q どうして令和5年度は黒字となったのですか?

A 主な要因は、電気料金高騰等に対する一般会計からの補助金です。

 令和5年度の純損益が約7億3千万円の黒字となった主な要因は、一般会計からの補助金(約10億円)の受け入れにより収入が増加したことなどによるものであり、同補助金がなかった場合は赤字に転じていました。
 また、令和5年度決算においては、供給単価(※1)102.24円に対し、給水原価(※2)105.53円が上回っており、料金収入のみでは費用を賄えない厳しい経営状況となっています。
(※1)供給単価: 水道水1立方メートルを販売した単価
(※2)給水原価: 水道水1立方メートルを製造するのにかかった原価
給水原価、供給単価の推移
単位:円/立方メートル R1 R2 R3 R4 R5
給水原価 98.02 96.01 99.60 102.41 105.53
供給単価 102.24 102.24 102.24 102.24 102.24
差額 4.22 6.23 2.64 ▲ 0.17 ▲ 3.29

Q 令和5年度は黒字だったので、改定幅を抑えてはどうですか?

A 黒字は内部留保資金に回し、施設整備を行うための資金となります。

 黒字(収益的収支の純利益)は内部留保資金(※)に貯蓄されますが、内部留保資金は計画的な施設整備を行うための大事な資金です。
 今後、内部留保資金は減少していく見込みとなっており、黒字が出た分を単純に値下げすると、内部留保資金が確保できず、水道用水の安定供給に影響が生じる恐れがあります。
(※)内部留保資金: 将来の施設整備に係る費用や、これまでの施設整備のために借りていたお金の返済に使うための貯金。
グラフ:内部留保資金の推移

Q 一般会計から補助金をもらい続ければよいのではないでしょうか?

A 水道料金で事業を賄うことが原則となっています。

 地方公営企業である沖縄県企業局は、水道料金などの事業収入を持って充てなければならないとする「独立採算の原則(地方公営企業法第17条の2) 」で運営しています。
 一般会計から補助が認められるものについては、災害の復旧その他特別の理由がある場合に限定されています。
 今般の一般会計からの補助金については、電気料金の高騰が始まったとされる令和3年度からの動力費の増加分や、渇水に係る海水淡水化施設の最大運転への補助などとなっており、一時的なものと考えています。

Q 今後の見通しはどのようになっていますか?

A 厳しい経営状況ですが、経営努力をし、安定供給を目指します!

 今後は、人口減少に伴う水の使用量の減少により、料金収入が伸び悩むと予想されます。
 一方で、施設の計画的な更新災害に強い水道の構築及び水道広域化の推進など、新たな課題や高度化・多様化する県民ニーズに適切に対応する必要があります。
 今後とも、沖縄県企業局中長期計画に基づき、国庫補助金等の財源確保や経営合理化による経費縮減に取り組み、水道用水の安定供給に努めてまいります。
 
人口減少社会の到来(水需要・給水収益の減少)グラフ:人口減少社会の到来(水需要・給水収益の減少)
災害対策の多様化・高度化 / 安全・安心の確保グラフ:基幹管路耐震化率

施設更新期の到来 (本島)

写真:復帰前整備の米国規格管路

復帰前整備の米国規格管路

写真:復帰後整備のトンネル劣化状況

復帰後整備のトンネル劣化状況

水道広域化の進展 (離島)

写真:離島浄水場の整備状況

離島浄水場の整備状況

写真:海水淡水化設備の整備状況

海水淡水化設備の整備状況

公営企業会計の仕組み

Q 公営企業会計とはなんですか?

A 事業の経営成績や財政状況をより正確に把握するための会計です。

 公営企業会計は、水道料金などの事業収入により費用を賄うという「独立採算の原則(地方公営企業法第17条の2)」により特定の事業を経理する会計です。
 公営企業会計は、現金の収入支出のみを把握する官庁会計と異なり、民間の企業会計と同様に複式簿記を採用し、損益計算書貸借対照表などの財務諸表を作成することで、その事業の経営成績や財政状況をより正確に把握することができるようになっています。
 沖縄県企業局の水道事業会計及び工業用水道事業会計は公営企業会計を採用しています。
イラスト:公営企業会計の解説図

Q 公営企業会計の仕組みはどのようになっていますか?

A 収益的収支、資本的収支、内部留保資金(補てん財源)の3つに分かれています。

イラスト:収益的収支、資本的収支、内部留保資金 (補てん財源)の解説図
 水をきれいにしてお届けするという日々の事業活動(収益的収支)によりいただいた利益等を、いったん内部に貯金(内部留保資金:補てん財源)します。
 その貯金で、古くなった水道管の更新や施設の建設、これまでの施設整備のために借りていたお金の返済など(資本的収支)を行っています。

Q 官庁会計と公営企業会計の違いはなんですか?

A 主な違いは、①2本立ての予算、②発生主義、③補てん財源制度の3つです。

 官庁会計との違いは、大きく分けて3つあります。
①収益的収支予算・資本的収支予算に分かれていること。
 ※官庁会計では、歳入歳出予算の一本で計上されています。
②お金の変動がない収支(減価償却費、長期前受金戻入等)があること(発生主義)。
 ※官庁会計はお金の変動があるものだけを計上します(現金主義)
③補てん財源制度がとられていること。
 ※補てん財源は、官庁会計における繰越金に相当します。
イラスト:官庁会計と公営企業会計の違い

Q 収益的収支とはなんですか?

A 日々の事業を運営するための取引のことです。

 収益的収支とは、「日々の事業を運営するための取引」のことです。
 収益的収支には、主に水道料金などの収入と、水をきれいにして市町村へ届けるための動力費などの費用や水道施設を維持するための修繕費などの支出があります。
イラスト:収益的収支の解説図
 収入から支出を引いた差がプラスであれば「純利益」、マイナスであれば「純損失」が生じます。
 この純利益と損益勘定留保資金(お金が減らない支出(減価償却費等)からお金が増えない収入(長期前受金戻入等)を除いた額)が、「将来水道施設を整備するための貯金(内部留保資金:補てん財源)」に積み立てられることとなります。

Q お金が減らない支出(減価償却費)とはなんですか?

A 時間経過に伴う劣化等による資産価値の減少を表した費用です。

 例えば、4年間使える軽自動車Aを120万円で購入する場合、120万円の現金を支払って軽自動車Aという財産を取得します。
 購入した軽自動車Aは永遠に120万円の価値があるわけではなく、使えば使うほど劣化し、価値がどんどん下がっていきます。
 そこで、購入に要した費用を軽自動車Aの使うことができる期間(耐用年数)である4年間で割り振り、1年間で減った価値を算出します。
イラスト:1年間で減った価値の算出方法
 この120万円で購入した軽自動車Aは、4年間、毎年30万円ずつ使ったとして費用に計上します。この費用を「減価償却費」といいます。
 なお、購入時にお金を支払っているので、減価償却費の計上にあたってお金が減ることはありません。
イラスト:減価償却費の計算

Q お金が増えない収入(長期前受金戻入)とはなんですか?

A 資産の取得に充てた補助金等を減価償却に併せて収益化したものです。

 4年間使える軽自動車Aを120万円で購入したときに、国から40万円の補助金がもらえたとします。
 補助金の対象である軽自動車Aの資産価値の効果は、軽自動車Aが使用できる期間に及ぶことから、40万円の補助金についても減価償却費と同様に軽自動車Aの耐用年数4年で割り振り、毎年10万円ずつ収益を計上します。
イラスト:1年間分の収益の計算方法
 この受け取った補助金を1年間の収入として割り振った収益を「長期前受金戻入」といいます。
 なお、購入時に補助金を受け取っているため、長期前受金戻入の計上にあたってお金が増えることはありません。
イラスト:長期前受金戻入の計算

Q 資本的収支とはなんですか?

A 水道施設の整備のための取引のことです。

 資本的収支とは、「水道施設の整備のための取引」のことで、主に補助金や借入金(企業債)などの収入と、水道施設の建設や更新する工事費、借入金の返済(企業債償還金)などの支出があります。
 資本的収支においては、収入が国・県からの補助金や企業債(借入金)に限られており、必ず収入が支出を下回り、お金が不足します
 この収支不足額は「将来水道施設を整備するための貯金(内部留保資金(補てん財源))」で補てんすることとなります。
イラスト:資本的収支の解説図

Q 内部留保資金(補てん財源)とはなんですか?

A 将来、水道施設を整備するための貯金です。

 内部留保資金(補てん財源)とは、「将来水道施設を整備するための貯金」のことです。
 収益的収支で生じた純利益やお金の変動がない収支(損益勘定留保資金)などを、内部留保資金(補てん財源)へ毎年積み立てています。
 この内部留保資金(補てん財源)は、資本的収支の不足額へ補てんされることになります。
イラスト:内部留保資金解説
イラスト:利益の処分について
グラフ:内部留保資金の推移

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